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絆に見守られて(本出版までの日々) その32 時間がない……

従妹が絵本を出版したその翌月、8月15日。
胸にしこりがあり私と同じような状態なので、と母が検査を受けました。
その後結果が出て、しこりは乳癌であったらしいのですが、同時に肺にも癌があることがわかりました。
乳癌はまだ初期段階。けれども肺の方は骨や他の臓器に転移していて、9月、抗がん剤治療のために入院することに。
1サイクル目の治療が終わり退院となりましたが、食欲が戻らず、水ですら受け付けない状態。
骨への転移で痛みがあったので、痛み止めをいただいていましたから、その副作用もあったらしいです。
点滴も血管がもろいようで、なかなか入らず、本当に辛そうでした。

10月のある週末、絵本を出した従妹がお見舞いに来てくれました。
家で静養中の母でしたが、相変わらず何も食べられない状態。
従妹が来てくれると言うことで、私も母の看護のために里帰りしていましたが、氷なら何とか口にできる様子に、色んな物を凍らせて、シャーベット状になったそれを口に入れる形で水分や栄養を採ってもらっていました。
従妹は母の枕元に座り、手を握って長い間色んな話しをしていました。
会わなかった年月を埋めるように。

けれど彼女も仕事があり、翌日には関東へと。
私はしばらく残って母の看護を続けていました。
シャーベットを口に一さじずつ運ぶ私に、姪が本を出せたことを喜びながらも、私が本を出す所も見たいとぽつんと告げる母。
「あんたが本当にやりたかったことをし遂げるのを見届けたい」

心が痛くなりました。
今まで心配ばかりかけて来た母に、何か喜んでもらえることができないか。
そのことばかり考えていました。

従妹が来てくれた翌週には私も乳腺外科での検査が入っていました。
まずはその検査をクリアーして、安心してもらいたい。
検査の前日まで母の看護をした後、その日の夜に帰宅、翌日の検査に行きました。

検査が終わり、乳腺外科の待合室で診察を待つ間、そこから外の景色を見ながら、ふとその前の年のことを思い出していました。
自分が乳癌であることをどうしても母に言えず、弟に任せてしまったこと。
それから母がどんな思いでいたのか、そのことを考えながら。
手術の後、最初の診察には母も先生の話が聞きたいと、この待合のソファーの隣に座っていたのです。
そのことを思い出して、涙が止まらないまま、主治医の声に呼ばれました。

泣きながら診察室へ入って来た私に、主治医は驚いて子どもをなだめるように背中をさすりながら
「どうしたん? 検査、不安やったん?」
と尋ねました。
母のことを話すとじっくりと聞いてくださって、
「それは心配やなあ。……でもあなたのこともね。あのね、実はちょっとだけ気になるものがあったんで、診せてくれるかな」
手術時のドレーの管を通すための穴の痕、そこにちょっとした肉腫のようなものがありました。
「体質でケロイド状になることがあるから、多分それやろうって思うけれど、お母さんのことも心配だしね。まずあなたが大丈夫って言う状態で、しっかりお世話ができるようにしよ。来月日帰りの手術で、これ採って検査しましょね。僕に相談したいことがあったらいつでも聞くから、自分だけで悩んだらあかんよ」

そんなわけで次の月11月に日帰りの手術を受けることになりました。
その上で、もう一つ。

母の状態から、もうそれほど時間がないのだということ。
私ももしかしたら、悪性かもしれないものがあって手術っていうことに。
自分自身の時間だってどれくらい残されているか分からない。
今まで私が夢をかなえられるよう、応援して来てくれた母のためにも、どうしても早く作品を本にしたい。

ある決心をして、そのことを晶惺さんに相談することにしました。
いや。正確に言うと違います。
相談する前に自分の中で決めていたことを告げることにしました。




(つづく)
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テーマ : 雑記
ジャンル : 小説・文学

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プロフィール

AYAKA

Author:AYAKA
「乳癌とエリちゃんに感謝。病気に負けない日々」を綴っていたあやにゃんです。

日々思うこと、自作小説の執筆裏話を中心にお届けします。
不定期更新ですがよろしくお願いします。

アメブロで、猫のウバとブログやってます。
http://ameblo.jp/ayatakelog/
(ウバのひとりごと)
リンクからどうぞ→




武美肖佳&龍未晶惺の名で、学生時代からの親友とこのたび文芸社から本を出版しました。

「DESTINY―遥かなる宇宙より―」
武美肖佳(たけみあやか)
龍未晶惺(たつみしょうせい)

四六版・並製268頁 
定価1,155円(消費税込み)
文芸社
ISBN978-4-286-12296-0

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