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絆に見守られて(本出版までの日々) その29 生まれ変わりの年

ゴールデンウイークの頃、いったん退院となりました。
退院の前日、1階の夜間出入り口から隣の公園へ行き、脚ならしの散歩をしてエレベーターに乗ろうとしたら、名前を呼びながら駆け込んでくる白衣のおじさんが……。
乳腺外科の主治医の先生でした。
「明日退院なんやってね、おめでとう。ゆっくり休んでおいしいもん食べてな。その後はちょっと頑張らんとあかんから、しっかり体力つけといて。それじゃいい休暇を」
そんな風に声をかけてくださった先生。
いつもニコニコされているので、にこちゃん先生と呼んでいたのですが(もちろん私の中だけで)実は外科部長さんでした。
そんな役職を感じさせないほど、腰が低く、気さくな方です。

癌の手術、それも左の乳房全摘ということで、女性としてもかなりの精神的負荷を感じる物です。
私はそれほど若くないし、もうスタイルにこだわることもないかもしれないけれど。
でもいくらおばさんでも、一応女性だから……。
不安や辛い気持ちがないとはいえない。

先生が私を見つけて駆け付けて来て、そんな風に言ってくださった事が本当に嬉しくてエレベーターの中で涙ぐんでしまいました。


手術は5月の半ば。
若い男性の先生が入院中、着いてくださることに。
そして腎臓内科の主治医の先生や、糖尿病内科(こちらは薬の副作用のためについてくださってます)の先生が病室へ来て励ましてくださいました。
糖尿病内科の先生は手術当日夜勤をとって、スタンバってくださるとのこと。
他にも何人かの麻酔科の先生がついてくださるというチーム編成。
気持ちが本当に楽になりました。

手術当日、朝一番の時間帯でしたけれど、主人の一番上の姉、実家の母と娘、晶惺さん、下の弟が駆け付けてくれました。
皆に見送られての手術室行き。
そして術後は母、上の弟家族、下の弟、主人と娘、そして夜勤だった糖尿内科の先生、翌日は腎臓内科の先生が次々と顔を見せてくれました。

色んな人に心配をかけたし、世話になったし、元気をもらえた。
そして生還できました。
その上リンパにあった怪しい影、それが良性の物だったと分かり、抗がん剤を使わないホルモン治療ということに方針転換。
転移も覚悟していたので、本当に命拾いをしたような気がします。

まだ生きることを許してもらえた。
まだ時間をもらえた。
失った乳房と引き換えに。

その喜びでいっぱいになりました。
不思議なんですが、自分の体形が人と違うものになったことについては、それほどの悲しさはなかったです。
胸に大きくできた傷跡も、ここにあった物が犠牲となって自分を生かしてくれたんだという、証拠みたいで、むしろ宝物のような気がしました。
そんな風に自然に思えた事が嬉しかったし、その傷を見るたび、助けてくださった先生達のことを思い出せます。
感謝いっぱいの気持ちになれるのが、嬉しく思うほど。





退院後、義母の1周忌などがありましたが、主人は親戚に話をしていなかった様子。
ですけれど、まだ実際お茶運び一つもできないくらい術後すぐでしたから、母が手伝いにずっと来てくれていました。
そうやって助けてもらいながら、色んなことをこなした日々です。

その後も膠原病の様々な症状のために入退院を2度ほどしました。
腎臓内科だけではなく、総合内科や皮膚科、神経内科、血液内科のお世話になったりもしました。
でもなぜかそのたびに落ち込むことは少なかった。
それは大きな手術を乗り越えた後、命をもらったと実感できたおかげかもしれません。
いただいた命と時間を何に使うか。
どう生きるか、真剣に考えた頃です。

そして秋……。
神経内科の入院から解放された頃、父の3回忌を迎えます。

この年の直前には大きな別れが続いたなと思いました。
そして父の命日の頃、新しい出会いも待っていたんです。
大切な大切な命との出会いでした。

それについてはまた次に……。





(つづく)
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テーマ : 雑記
ジャンル : 小説・文学

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プロフィール

AYAKA

Author:AYAKA
「乳癌とエリちゃんに感謝。病気に負けない日々」を綴っていたあやにゃんです。

日々思うこと、自作小説の執筆裏話を中心にお届けします。
不定期更新ですがよろしくお願いします。

アメブロで、猫のウバとブログやってます。
http://ameblo.jp/ayatakelog/
(ウバのひとりごと)
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武美肖佳&龍未晶惺の名で、学生時代からの親友とこのたび文芸社から本を出版しました。

「DESTINY―遥かなる宇宙より―」
武美肖佳(たけみあやか)
龍未晶惺(たつみしょうせい)

四六版・並製268頁 
定価1,155円(消費税込み)
文芸社
ISBN978-4-286-12296-0

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