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絆に見守られて(本出版までの日々) その11 思わぬ壁

本を作りたい――そんな思いは私と晶惺さんの中でどんどん膨らんでいきました。
けれど、その実現には色んなことを乗り越えないといけませんでした。

その当時私は本気で小説家になりたいと思っていて、合作で書いている物とは別の作品を準備している所でした。
舞台は第2次世界大戦時から現代(私自身が短大時代の現在)にいたる日本の関西とアメリカのシアトル。
SFでもファンタジーでもない、歴史に翻弄される人々を描きたいと思っていました。
自分の両親やその頃同居していた祖母をモデルとした登場人物も考えていました。
けれど書きはじめる前に資料を集めないといけません。
その当時の時代背景のこと。
それに、舞台となっている町のこと。
特にシアトルの気候など、図書館の海外旅行のガイドなどを参考に勉強するうちに、一つの気持ちが芽生えてきました。

アメリカへ行ってみたい。

今でこそネットで色んな所をいながらにしてみることもできますが、その当時は現地でないと。
そこの空気や人々の営みを直接見ることが作品作りに欠かせないと思い込んでいました。

そんな頃私達の短大で、ある募集がありました。
2回生の夏休みにアメリカでのホームステイ。
高校までの修学旅行のような形で、先生方が一緒に現地へ行ってくださるというもの。
行先も西海岸から、カナダのバンクーバーへも入るということで、これはチャンスだと思いました。
友だちも皆行くと言います。
学校からの旅行だからきっと親も許してくれるのではないか。
そう簡単に思っていました。

学校からもらった資料を両親に見せて「行かせてください」とお願いしました。
が、あえなくノーの返事。

父は短大入学当初肺炎になってしまったことをあげ、体が弱いのに慣れない外国なんかへ行って病気になったらどうするんだと言います。
母は今は学校へ行かせてやれるだけで精いっぱい。そんな余裕はないといいます。

費用が掛かる点については、自分でも分かっていましたし、そう言われたら諦めるしかありませんでした。

本当は大学にある国文学科へ進みたいと思っていました。
が、父は同じ系列の短大に家政科があったので、そちらへ行くよう勧めました。
家政科なら花嫁修業的な事が出来ます。
国文学科はあきらめる。
でも2年行かせてくれるなら、英語科に行かせてと泣いて頼んでやっと許してもらいました。
どんな形でも文学に触れていたかったのです。
まあ……そのおかげで晶惺さんと出会ったわけなんですが。

私は剣道やピアノがやりたかったのですけれど、実際は箏や茶道、華道、書道……。
父の中の理想像みたいなものを与えられているような気がしていました。
小説家なんてとんでもない。
それより、さっさと結婚して家庭を守っていくことが女の務めだと。


父の事は大好きでした。
けれど作家になりたいという夢はあきらめたくなかったです。
そのことだけはどうしても譲れなかった。

父に対して反抗することは絶対許してもらえなかったですから、こっそり反抗しました。
自室にいる時は勉強をするふりをしながら小説を書いていました。
父か母の足音がしたら、ノートを机の下に隠して学校の本を読んでいたようなふり。
家ではそんなふうにささやかな抵抗をしながら書き続けていました。


けれど今なら父や母が私を大事に思い、そのために外国への旅行や作家になることを反対したのだと分かります。
後にこの時アメリカへ行かせてやれなかったことが母の中のしこりになっていきました。
亡くなる直前まで。
本当は行かせてやりたかった。でも当時祖母の介護生活で、気持ちも余裕がなかった。
いっぱいがまんさせてごめんね、と何度も言われました。
そんな……そんなこと、もうどうでもいいのに。



そんな母でしたからどうしても本を出す夢の実現を見せたかったということもあったんです。
それはまたずっと先のお話ですが。
この時はただ夢ばかり追っていた学生でした。






(つづく)
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テーマ : 雑記
ジャンル : 小説・文学

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プロフィール

AYAKA

Author:AYAKA
「乳癌とエリちゃんに感謝。病気に負けない日々」を綴っていたあやにゃんです。

日々思うこと、自作小説の執筆裏話を中心にお届けします。
不定期更新ですがよろしくお願いします。

アメブロで、猫のウバとブログやってます。
http://ameblo.jp/ayatakelog/
(ウバのひとりごと)
リンクからどうぞ→




武美肖佳&龍未晶惺の名で、学生時代からの親友とこのたび文芸社から本を出版しました。

「DESTINY―遥かなる宇宙より―」
武美肖佳(たけみあやか)
龍未晶惺(たつみしょうせい)

四六版・並製268頁 
定価1,155円(消費税込み)
文芸社
ISBN978-4-286-12296-0

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